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【PS4】今更「SEKIRO」をクリアして気づいた、面白さの仕組み【ACT】

こんにちは。なかやんです。

最近、今更ながら「SEKIRO(隻狼)」をクリアしました。

「SEKIRO」は2019年3月にフロムソフトウェアから発売されたアクションゲームで、数多くのゲームメディアのゲームオブザイヤー(GOTY)を受賞した作品です。

発売から約9ヶ月が経っているのにも関わらず、しかもアクションゲームが別に得意でない僕が、今回「SEKIRO」をプレイしようと思った理由は、このGOTYを数多く受賞しているという点と、多くのゲーム実況者・配信者の方がプレイしていたということの二点です。

動画や配信で一人のボスに数時間かける姿をみて、「こんなに難しくて万人ウケしなさそうなゲームなのに、GOTYを受賞しているのはすごいな。どれくらい難しいものなのか、自分もやってみたい」と思い、プレイに至った次第です。

実際に「SEKIRO」をクリアしてみて

噂されていた通り、とんでもない難ゲーでした。

この難しさは実際にやって見ないとわからないと思います。

ちなみに、「SEKIRO」ではボスを倒すとトロフィーが入手できます。

PS4ではそのゲームの全プレイヤーのトロフィー所持率を確認出来るのですが、ラスボスを倒したトロフィーを所持しているのは約25%でした。(ゲームクリア時に確認)

つまり、発売から約9ヶ月が経っているのに、購入者の約75%が全クリまで到達できていないということになります。

これだけで「SEKIRO」の難しさを物語っていると思います。

僕がもし会社の人事だったら、「SEKIRO全クリ」と履歴書に書いてあったら、思わず通してしまうことでしょう。

僕はソウルシリーズもプレイしたことがない、フロムゲー初心者だったのですが、こんなのクリアできるわけないやろ、と何度も思いましたし、実際に口にしました。

「SEKIRO」というゲームは基本的にプレイ中、一切の油断ができません。

道中の雑魚キャラでも囲まれれば一瞬で死にますし、ボスに至ってはまともに攻撃を受ければ基本的に1、2回の攻撃で死にます。

しかもボスに対してこちらの攻撃は大してダメージを与えることができず、ただ「攻撃」だけしていれば勝てる、ゴリ押しが通用するボスはほとんどいません。

敵の攻撃を回避(見切り)したり、「弾く」ことで敵の体勢を崩し、「忍殺」を決めるのが、基本的な立ち回りになります。そしてこの動作一つ一つがめちゃくちゃかっこいい。

引用:「SEKIRO」公式

アクションゲームなのに「俺つえーw戦法」が通用せず、ただ敵の攻撃に耐え忍び、針の穴を通すように隙を見て攻撃する、地味なように思えますが、それでいて最後は爽快感と達成感が残るという、かなり特殊なゲームかと思います。

「SEKIRO」はここのバランスがとても秀逸で、忍耐の先に何物にも変えがたい達成感を味わえるのは、どこか登山やマラソンを思わせます。

別に僕は登山もマラソンも趣味ではないのですが、多分山に登る人やマラソンをする人はこういう気持ちを味わっているのだろうなぁ、と思います。

「SEKIRO」の達成感の仕組み

前述の通り、「SEKIRO」のボス戦は攻略に時間がかかります。

大抵のボスは初見で平均1時間程度、ちなみに僕はラスボスを倒すのに普通に5時間かかりました。

5時間も同じことをしているとさすがに気が狂いそうになります。

なぜそんなに時間がかかるのかというと、ボスの攻略もまず攻撃パターンを見ながら、この攻撃は弾きやすいな、とかこの攻撃の後には隙が生じるな、というのを死にながら覚えないといけないからです。

引用:「SEKIRO」公式

なにより発狂しそうになるのが、攻撃パターンを見切り、うまく弾きながら体幹ゲージを削り(敵の体幹ゲージを削りきると忍殺ができる)、ようやく忍殺できそうになったところで心に隙が生じ、思わぬ反撃を受けて殺される時です。

これはとんでもないストレスです。

実際に発狂している方をご覧ください。

なぜゲームでこんなにストレスを受けなければならないのだろうと思いますが、実はこのストレスが「SEKIRO」の達成感を生み出しているのではないかと僕は思います。

人間は、一定のストレスがかかると脳内にエンドルフィンが分泌され、脳に快感をもたらすドーパミンが活発化します。

このエンドルフィンとドーパミンはいわゆる報酬系と言われる脳内物質で、分泌されると多幸感を生み出します。

マラソンにおける「ランナーズハイ」と言われる現象は、このエンドルフィンとドーパミンが要因となっています。

ちなみにドーパミンを分泌させる効果的な方法は、「難しいけれど、達成が不可能ではない」目標を立て、それを達成することが大事で、この点「SEKIRO」のボスの難易度はとてもバランス良く設定されているなと感じます。

つまり、緊張感のある剣戟を経て、最初は「絶対倒せないだろこんなん」と思っていたボスを忍殺した瞬間、プレイヤーの脳内ではエンドルフィンとドーパミンが分泌されているのです。

これが「SEKIRO」の達成感と面白さの秘密なのではないかと思います。

ボスを倒すと、正直手が震えます。

「やったー!」とかじゃなくて、「やった…」と心の底から滲み出るような安堵のため息が出ます。

ちなみにボスを倒すと主人公を強化することが可能(ほんの少し)で、これにより「あれ?強くなったんじゃね?」と錯覚しますが、次のボスに普通にボコボコにされて「あ、勘違いだったんだな」と思い知らされます。

「SEKIRO」はこうした困難な目標に試行錯誤しながら立ち向かい、成功体験を積み重ねながら達成感を得ることの出来るゲームです。

GOTY受賞は伊達ではない

近年GOTYを受賞する作品の特徴として、ゲームシステムが面白い、ストーリー展開が良い、音楽やグラフィックが秀逸ということ以外に、ゲームという媒体を通していかに「面白い」以外の感情・体験をプレイヤーに与えるか、というのが重視されているような気がします。

そういう意味では独特で至上の達成感を提供する「SEKIRO」は、受賞すべくして受賞したゲームと言えるでしょう。

確実に万人受けするゲームではありませんし、かなり人を選ぶゲームであることは間違いありません。

ですが、カジュアルにプレイ出来るのがユーザーに好まれるスマホゲー全盛期の昨今に、こういった高難易度で硬派な国産ゲームがGOTYを受賞したというのは、面白いことだと思います。(2019年は日本のゲームが多くノミネートされていました)

骨のあるゲームをやりたいという方には絶対的におすすめできます。ですが、興味本位で購入することはおすすめできません。

ただし、上質な体験が出来ることは保証します。