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【PS4】「十三機兵防衛圏」の感想・レビュー。SFとしての完成度の高さと、アドベンチャーゲームの枠にはまらない傑作【ADV】

こんにちは。なかやんです。

今回、2019年11月28日発売の「十三機兵防衛圏」をクリアしたので、感想・レビューを書いていきます。

総プレイ時間は約36時間です。

この記事にはネタバレはありません

「十三機兵防衛圏」ってどんなゲーム?

「十三機兵防衛圏」はヴァニラウェアが開発し、アトラスから発売されたアドベンチャーゲームです。

ヴァニラウェアは「オーディンスフィア」や「朧村正」を開発したゲーム会社で、「横スクロール」という現代には割と尖ったゲームシステムで、多くのファンを獲得しています。

完全新作は約5年ぶりになるので、「十三機兵防衛圏」はファンからの期待値も高いものとなっていました。

発売前にはゲーム実況者とコラボして配信も行われていたので、名前は知ってるという方もいるのではないでしょうか。

楽曲は「オーディンスフィア」・「朧村正」から引き続き、「FF12」や「ファイナルファンタジータクティクス」、「戦場のヴァルキュリア」シリーズの楽曲を担当した崎元仁さんが携わっています。

3つに分かれて進めるゲームシステム

「十三機兵防衛圏」は大きく3つのゲームシステムに分かれています。

まず、キャラクター同士の会話が中心となる「追想編(アドベンチャーパート)」、そして機兵と言われるロボットを操って敵と戦う「崩壊編(シミュレーションパート)」、最後に世界観を補完するTipsなどが集められた「究明編(アーカイブス)」です。

プレイ時間の比率に関しては、「追想編」:「崩壊編」が7:3くらいの感覚です。

「究明編」に関してはアーカイブなので、必ずしも読み進める必要はないのですが、正直読まないとストーリーや世界観はわからないので、全て集めることをおすすめします。

13人の主人公の物語を読み解く「追想編」

このゲームはタイトルにもある通り、13人の主人公の物語を読み進めていく、オムニバス形式となっています。

それぞれ住む時代の異なる13人の主人公が、1985年に襲来する「怪獣」と戦うために集結する、というのがざっくりとしたあらすじで、それぞれの主人公のストーリーが他の主人公のストーリーにも密接に関わってくる、というシステムが取られています。

単にテキストを読み進める訳ではなく、ヴァニラウェア作品おなじみのベルトスクロールで、キャラクターを動かしながらストーリーを進めるという楽しさがあります。

また、フルボイスかつ美麗で温かみのあるデザインのグラフィックが特徴的で、これが崎元さんの楽曲と非常にマッチしています。

一人のキャラクターのストーリー「のみ」を進めていく、ということは出来ないようになっており、一人のキャラクターのストーリーをある程度進めるとストーリーがロックされ、別のキャラクターのストーリーを進めることでロックが解除される、という仕組みになっています。

このあたりは作品全体の辻褄を合わせるために、うまく工夫されているなと思いました。

キャラクターとの会話中に出てきたキーワードやアイテム等を相手に提示することで、物語を進展させる「クラウドシンク」というシステムで、「追想編」を進めていきます。

シンプルだが洗練されたバトルシステム「崩壊編」

「崩壊編」は、迫り来る「怪獣」を機兵で倒していくシミュレーションパートです。

簡単にいうと、タワーディフェンスのような要素となっています。

「十三機兵防衛圏」の「怪獣」はエヴァンゲリオンでいう、使徒のように「ターミナル」という都市管理機構の中枢を狙って進軍してきます。

その「ターミナル」を2分間防衛するか、迫り来る怪獣を全て倒す、というのが基本的な「崩壊編」での勝利条件です。

13体の機兵の中から6体までの攻撃隊を編成し、操作しながら防衛戦を行います。

迫り来る怪獣はパートを進めるごとに種類が増えていき、こちらも機兵の兵装をよく考えながら出撃しないと苦しい戦いを強いられることになります。

また、機兵にも近距離型・遠距離型・飛行型と得手不得手が分かれており、どの機兵を選出するか、という戦略面での楽しみも味わえます。

タワーディフェンスとしては非常にシンプルな作りになっていますが、わかりやすく洗練されています。

難易度も選べるようになっており、バトルパートを楽しみたい人は難易度を「STRONG」にすれば骨のあるバトルを味わえるようになっています。

また、「崩壊編」のみをひたすら進める、ということはできないようになっており、「追想編」でエピソードの進行度をあげることで新たなステージが解放されるという仕組みになっています。

複雑な世界観を補完する「究明編」

前述の通り、「究明編」は物語のアーカイブやTipsを確認できるものです。

100%コンプリートしなくてもゲーム自体はクリアできますが、「十三機兵防衛圏」のシナリオはかなり複雑に伏線が絡んでいるので、しっかり楽しみたいのであればこの「究明編」のTipsを集めることを強くすすめます。

「あれってそういうことだったんだ!」と、ストーリーを追っていくだけでは気づけなかった事も補完してくれます。

「十三機兵防衛圏」の賛否両論点

ここからはネットやAmazonのレビューで語られがちな「十三機兵防衛圏」の賛否両論点を上げていきます。

「ロボット物」として見ると物足りなさを感じる

「十三機兵防衛圏」は機兵を操り、敵を倒すバトルパートがあるので、ロボット物として造形などを期待していたのですが、残念ながらバトルパートでロボットの全貌を見ることはできません。

基本バトルパートではアイコンでしかキャラクターを確認できないので、純粋なロボット物として見るにはやや迫力にかけると思う方もいるかもしれません。

ストーリーが複雑すぎる

13人の主人公に加え、さらに主要な登場人物が出てくるので、それぞれの人間関係の相関やストーリーの辻褄を逐一確認しないと、置いてけぼりになり可能性がかなりあります。

また、世界観の前提がひっくり返るようなことが何度か起きるので、プレイを数日あけたりすると、話についていけなくなると思います。

そのために「究明編」があるのですが、アドベンチャーゲームに不慣れな人にはストーリーを追うのが難しそうだと感じました。

SFとしての完成度の高さと、アドベンチャーゲームの枠にはまらない傑作

最近プレイしたアドベンチャーの中では、間違いなく傑作に入るゲームです。

少年少女がロボットに乗り、敵と戦う、という設定だけ取るとありきたりに思えますが、作り込まれた世界観と幾重にも張り巡らされた伏線で、これまでにないゲームに昇華されています。

また、単にメッセージを読み進めるゲームではなく、バトルパートも充実しており、アドベンチャーゲームの枠組みにとらわれない工夫がなされています。

一人の主人公のシナリオを見ると、また新たな謎が出てきて、思わず時間を忘れてプレイしてしまうような作りになっています。

これだけの伏線をどのように回収するのか、プレイ中は疑問でしたが、最後は綺麗にまとめられており、「読後感」というか、終わった後に爽快感を覚えるゲームです。

ちなみに「十三機兵防衛圏」はPS Storeで体験版がプレイできるので、気になる方はまずは無料でプレイしてみることをオススメします。