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【PS4】「ライフイズストレンジ2」の感想・レビュー。時間は巻き戻せない、今を精一杯生きる兄弟達の物語【ADV】

こんにちは。なかやんです。

今回、2020年3月26日に発売された、「ライフイズストレンジ2」をプレイしたので、感想・レビューを書いていきます。

プレイ時間は約12時間です。

なお、ネタバレを含む際は、注意書きを入れていきます。

「ライフイズストレンジ2」ってどんなゲーム?

「ライフイズストレンジ2」は、フランスのゲーム会社、「DONTNOD」が開発したアドベンチャーゲームです。

前作の「ライフイズストレンジ」は数々の賞を受賞し、日本国内でもとても人気の高いゲームで、その続編としての「ライフイズストレンジ2」も発売前から大きな注目を浴びていました。

実は、「ライフイズストレンジ2」自体は2018年9月から発売が始まっていたのですが、2020年の3月に日本語版が発売され、日本のファンも遊べるようになりました。

三人称視点のアドベンチャーゲームで、プレイヤーは主人公のショーンを操作し、オブジェクトや人物を調べながらストーリーを進めていきます。

ショーンは絵の才能があり、常に小さなスケッチブックを持ち歩いています。スケッチをすることもストーリーの要素の一つです。

ストーリーは全5章から成り立っており、だいたい2時間程度で1章が終わるボリュームなので、海外ドラマや映画を楽しむような感覚でプレイすることができます。

「ライフイズストレンジ」の面白い点は、プレイヤーがとった選択によって、その後のストーリーが若干、または大きく変わって行くという点で、それは今作にも引き継がれています。

重要な選択肢を選ぶ際は、画面が暗くなる。

また数々の悪いと思われる選択をしたとしても、ゲームオーバーの概念がないので、ゲームに不慣れな方でも楽しく遊ぶことができます。

前作や体験版はやっておいたほうがいい?

前作の「ライフイズストレンジ」と2の体験版である「The Awesome Adventures of Captain Spirit」をやっておいたほうがいいのか、という質問に対しては、「やらなくてもストーリーは理解できるが、やっておいたほうがいい」と答えざるを得ません。

前作の「ライフイズストレンジ」の三年後が今作、という世界観で、前作のキャラも少なからず登場します。

また、後述しますが、前作「ライフイズストレンジ」は、バタフライ効果が主たるテーマとなっており、「時間を戻す」、つまり「やり直す」というのがゲームの根幹になります。

それに対し、今作「ライフイズストレンジ2」は「時間は取り戻せない」というのが主たるメッセージとなっているような気がしており、前作のアンチテーゼ的な表現が多々出てきます。

そういった、前作をやっていることで見えてくるギミックが面白く、今作を100%楽しみたいのであれば、前作をプレイすることをオススメします。

また、体験版に関しては、2章に出てくるクリスという男の子にフォーカスを当てた物語になっているのですが、これもメインシナリオの伏線として役割を果たしており、前作より優先度は低いですが、プレイすることをオススメします。(こちらは無料でだいたい2時間くらいのボリュームです)

安息の地を求める兄弟の逃亡劇

「ライフイズストレンジ2」は、前作のアメリカのハイスクールを舞台にした少女2人の青春ドラマとは打って変わって、兄弟が安息の地を求めて放浪の旅をする、サバイバル色の強いストーリーになっています。

メニューではショーンの持ち物を確認することができる。お金が減っていく様などが生々しい。

主人公のショーンとその弟であるダニエルは、とある事故により父を殺害され、そのショックでダニエルは超能力に目覚めます。

ダニエルが突発的に引き起こした超能力により、現場は騒然となり、ダニエルを守るためにショーンはダニエルを連れて、その場を逃げ出します。

事件の犯人としての疑いをかけられながら、あてもなく逃避行を続けるショーンとダニエルの姿には「絶望」を感じざるを得ません。

しかし、年端のいかないダニエルの面倒をみるショーンの兄弟愛と、絶望的な状況を感じさせないBGM設計がプレイヤーをやさしい気持ちにさせます。

前作でも印象的だった、絶望的な状況にある意味そぐわないとも言えるカントリー調のBGMは健在で、この状況とBGMのギャップがライフイズストレンジの良さとも言えます。

今作は特にBGMが印象に残っており、オリジナル曲以外のライセンス曲もストーリーを盛り上げます。

ブロック・パーティの「Banquet」、ゴリラズの「On Melancholy Hill」、ジャスティスに「D.A.N.C.E」など、アラサーの洋楽ファンが思わずテンションが上がる曲が挿入曲として使われており、何度か鳥肌が立ちました。

生き残るために、道徳を捨てるか

経済力もサバイバル力もない兄弟が生き残るために、究極の選択を迫られる瞬間が多々あります。

食べ物も買えない中、なりふり構わず物乞いするかも選べる。

前述の通り、ゲームオーバーの概念はないので、ショーンとダニエルが死ぬことはないのですが、道徳に反する行動を取り続けると、ストーリー進行やエンディングにも関わってきます。

生きるために道徳を捨てるか。あくまで倫理を守るか。

また、前作と違って「時間を巻き戻す」ことが出来ないので、選択を撤回することは出来ません。自らが選んだ選択を常に受け入れなければなりません。

さらに選択肢によっては時間制限が設けられているものもあり、臨場感が増しています。

ダニエルのためになると思った選択が実はそうでなかったり、時には生き残るため非常な選択をせねばならず、倫理的ジレンマは前作より強調されている印象を受けました。

人種差別等の社会問題が生々しく描かれている

ショーンとダニエルは白人ではなくメキシコ移民の子供で、この「移民問題」が終始ストーリーについてまわります。

恥ずかしながら、僕はアメリカにおいて移民がここまで差別の対象になることを知りませんでした。(ゲームなので大げさに描かれている可能性も、またデフォルメ化されている可能性もありますが…)

行く先々で「白人ではないから」というだけで、白い目で見られ続け、迫害を受けます。

「自由の国」アメリカで自由を享受できるのは一握りなのだ、という失意の中、ショーンとダニエルは父の実家であるメキシコを目指すことにします。

旅の中で出会うショーンの協力者達は、一見自由な生き方を選択しているように見えます。

大麻の栽培工場を転々としながら日銭を稼ぐヒッピーの一団、社会に疲れアリゾナの砂漠地帯にコミューンを気づく人々、彼らは縛られない生き方を手に入れる代わりに、不自由さを内包しているように思えます。

「自由」を手に入れるには「不自由」を受容しなければならない、という矛盾がこのゲームのテーマの一つになっているような気がします。

「ライフイズストレンジ2」の気になった点

※…ここから先はストーリーのネタバレがあります。

ダニエルの超能力はなぜ発現したのか

前作でもそうだったのですが、なぜ超能力が発現したのかは不明なままです。

そもそもダニエルの超能力が発現したことで2人の放浪の旅が始まったので、何かしら解明されるのかと思わせますが、結局そのまま物語は終わります。

この辺りは消化不良を感じる人もいるでしょう。

セリフのない「ため息」「笑い声」などが英語のままとなっている

海外のゲームにしてはローカライズが素晴らしく、日本語の翻訳がとても自然です。

声優さんの演技も素晴らしいのですが、ただ一点、セリフのない「ため息」、「笑い声」などが英語音声のままで、急に違う声の人の笑い声が聞こえてくることになり、どうしても気になってしまいます。

粗探しのようになってしまいましが、他が素晴らしいだけに残念に感じました。

時間は巻き戻せない、今を精一杯生きる兄弟達の物語

前作と比較すると、シビアで暴力的な内容も多く、絶望の中に一筋の希望を見つけるが、それも奪われてしまう、という展開が続きます。

それでも懸命に生きようとする兄弟の絆が健気で、こちらも滅入りそうになりますが、ゲーム全体を取り巻く雰囲気がそれを感じさせない作りになっています。

失った時間は取り戻せない、過ちは取り消すことはできない、前作のアンチテーゼとなっているような「ライフイズストレンジ2」は、自由とは何か、家族や絆とは何かについて教えてくれます。

前作では賛否両論があったエンディングに関しても、今作は選んだ選択肢によって複数のエンディングが用意されており、個人的には納得のいく終わり方になっていました。

ぜひ、ショーンとダニエルの旅を見届けてみてください。