こんにちは。なかやんです。
今回、2020年2月27日にPS4で発売された「Frostpunk(フロストパンク)」をプレイしたので、感想・レビューを書いていきます。
「Frostpunk(フロストパンク)」ってどんなゲーム?
「Frostpunk」は「11 bit studios」という開発会社が手がけた都市開発シミュレーションゲームで、シムシティ、シヴィライゼーション、トロピコをイメージしていただくと少しわかりやすいかと思います。
ちなみに「11 bit studios」は2014年に発売された「This War of Mine」というゲームが有名で、過酷な戦時下で一般市民としてサバイバルを行うシビアな難易度のゲームとして、当時話題になりました。
「Frostpunk」は、もともと2018年4月にPCでリリースされており、日本語の対応が2019年2月、そしてPS4向けが2020年の2月にようやく発売された形になります。
僕もこのゲーム自体は知っており、とても面白いという評判も聞いていたので、PS4でプレイできるようになったのは多くのPS4ユーザーにとって喜ばしいことでしょう。
舞台は突然の大寒波が訪れた19世紀
「Frostpunk」は大寒波が訪れた1886年が舞台で、寒波により崩壊したロンドンに住む人々が新天地を目指して北上するという設定です。
北上する理由は北極に豊富な石炭資源があるからで、「Frostpunk」の世界では主なエネルギー資源は石炭です。
SFのジャンルでもあるスチームパンクのような世界観で、登場人物や街の様子などもスチームパンクがモチーフとなっており、手の込んだ街を眺めているだけでもジオラマを見ているようで楽しいです。
新天地を求める中で、人々はジェネレーターと呼ばれる巨大な蒸気エンジンを発見し、それを中心として街を建設し、極寒の極限環境を生き残る備えを築きます。
プレイヤーは一団のキャプテンとして、街づくりを指示し、来るべきさらなる寒波を乗り越えるために準備をしないといけません。
資源をやりくりし、来るべき寒波に備えよ
「Frostpunk」のシナリオは4つあり、どれもクリア条件があらかじめ定められているのですが、共通しているのは「生き残る」ということです。
当たり前と言えば当たり前なのですが、マイナス20度の極寒の中で、この「生き残る」事がとてもシビアで難しく描かれています。
前述したジェネレーターが住民の熱源であり、エネルギーの供給源でもあります。
なので常に効率的に石炭を採り続けるように立ち回らないとジェネレーターは停止してしまいます。
「Frostpunk」はこの寒さとの戦いがとてもリアルに描かれており、一定以上の寒さになると一部の施設は機能しなくなります。
医療施設や食料を供給する施設の機能が止まると、住民はすぐに病気になってしまい、放っておけば死亡してしまいます。
ジェネレーターの近くは暖かいので、住居もジェネレーターの近くに配備するようにしないと住民は凍えてしまいます。
人口が減れば労働力が低下し、街はどんどんジリ貧になっていきます。
しかも「Frostpunk」の世界では難易度にもよりますが、日数が経つごとに気温がどんどん下がっていき、最終的にマイナス100度にまで達します。
熱源を維持しながら、街を発展させ、食料などの資材も確保しなければみんな死んでしまう、という非情なサバイバルがこの「Frostpunk」というゲームの魅力です。
異なる遊び方が楽しめる4つのシナリオ
「Frostpunk」では「新しい家」というメインシナリオに加えて、「聖櫃」、「難民」、「ウィンターホームの崩壊」の3つのシナリオが用意されています。
「新しい家」はもっともオーソドックスなシナリオで、前述の通り、ロンドンから避難してきた住民がジェネレーターを発見し、周囲に街を築くところから始まります。
街の整備をある程度行うことで、ビーコンという調査施設を建設することができ、スカウトという探検隊を街の外へ派遣することができるようになります。
街の外部を調査すると、ウィンターホームという先遣隊が築いた街が崩壊していることが分かります。
住民の間に動揺が広がり、ロンドンに帰ったほうがいいのではないかと主張する「ロンドン主義者」が街を混乱させるようになります。
ここでプレイヤーであるキャプテンは混乱を鎮めるために、治安維持隊を組織し、秩序を持って制するか、信仰によって平和を保つかを選択し、「法律」として施行することになります。
「Frostpunk」はこの法律の選択がとても大事で、道徳に沿った法律を施行すると「希望」が増え、「不満」が減ったりします。
例えば、「児童労働」という法律があり、これに署名すると「希望」は減りますが、子供を労働力として使うことができるようになります。
極寒の地で子供を働かせるのってどうなの…って思いますが、思いとどまっていると労働力が枯渇してしまいます。
時には非情な選択をしないと、街全体が生き残ることができない、「生き残る」がテーマの「Frostpunk」はとてもハードボイルドなゲームです。
ちなみに、この「希望」と「不満」ですが、「不満」が最大になると住民から最後通牒が突きつけられ、それも守れないとキャプテンが追放されてゲームオーバーとなります。
住民との関係性もゲームにおいて重要な要素となっています。
「ロンドン主義者」を混乱を鎮めたのも束の間、ビーコンから「大寒波」が迫っていることが報告され、街は大寒波に備えるための準備をすることになります。
この「大寒波」が結構えげつなく、街の機能がほとんど停止している中、1週間近くマイナス100度近い環境を生き延びなければなりません。
途中、石炭採掘施設が停止しそうになり、住民が身を呈して施設を復旧させるという粋なイベントも挟まれていたり、圧倒的な自然の力に人間が立ち向かう様が描かれます。
BGMもバイオリンメインの壮大なものとなり、ゲームを盛り上げます。
この大寒波を生き延びれば「新しい家」のシナリオは終了です。
ただ生き延びた先に希望があるかというとそうではなく、人々はまた過酷な暮らしを生き延びるために日々を過ごさなければならず、救いがないところがこのゲームらしさと言えます。
自律した街を作り、「聖櫃」を守る
「聖櫃」は、世界中の植物の苗木が保存された「聖櫃」という施設を寒さから守るシナリオです。
このシナリオは労働力がエンジニアしか手に入らず、また全体の人口も少なめです。
技術力を生かしてオートマトン(24時間稼働する労働力となる機械)を開発し、自律する街を作ることで、「聖櫃」の管理に集中できるようになります。
また、シナリオ終盤では崩壊寸前の街を発見し、物資を送るか、自分たちの使命を果たすために見捨てるかの二択に迫られる展開も面白いです。
一度オートマトンが開発できるようになると、勝手に街が成長していくので、個人的にはこのシナリオが一番好きでした。
「難民」を受け入れ、平等な社会を作れるか
「難民」は、貴族などの特権階級が我先に去り、見捨てられたロンドンから脱出した市民が偶然発見したジェネレーターの街を作るところから始まります。
序盤は「新しい家」に似ていますが、シナリオタイトルの通り、周辺地区から絶えず難民が訪れ、住居スペースを圧迫します。
人口は多いので、食料を確保しながら効率よく住居を新設していくプレイングが求められます。
また、終盤では市民を見捨てた貴族が難民として街を訪れ、軋轢を生むようになります。
貴族を弾圧し、平等な社会を作るか、または共生を選ぶか、ここでもキャプテンの選択次第で街の運命が大きく変わります。
崩壊する街を立て直し、未来を描けるか
「ウィンターホームの崩壊」は内紛後の瓦礫の山と化した街、ウィンターホームを立て直すところから始まる、特殊な条件下でのシナリオです。
僕はこのシナリオがもっとも難易度が高いと感じました。
前キャプテンが築いた街は欠陥が多く、なんでこの施設がこんなにジェネレーターの近くにあるんだ、とか簡素で寒さに弱い住居がジェネレーターから離れたところに建設されているとか、まずは街の区画整理を行うところから始まります。
加えて内紛後なので病人の数がデフォルトで多く、初めから不満の値が高く、希望の値が低くなっているなど、絶望的な状況からのスタートとなります。
シナリオ終盤では、ジェネレーターが故障し、街の将来が危うくなります。
キャプテンは新しい安住の地を探すため、避難所を建設し、市民の移住計画を始めます。
限られた物資の中、どれだけの市民を移住させるか、またどれだけの市民は「見捨てる」のか、命を紡ぎ、生き残ることの意義が問われるシナリオです。
まとめ
「Frostpunk」はシナリオごとに目的が明確で、自由度こそ低いものの、プレイヤーの選択が街の行く末を大きく変えるというのがとても面白いゲームです。
また、街づくりもジェネレーターを中心に行わないといけないという独特なシステムで、一見簡単そうに見えますが、臨機応変に気温への対応を行わないといけないというのが他のゲームにはない独自性を確立しています。
ローカライズが下手で、英語をそのまま自動翻訳にかけたような日本語が若干気になりますが、致命的な欠点ではないでしょう。
また、難易度が非常に高いので、シミュレーションゲームにあまり慣れていない方はイージーモードから始めることをオススメします。
ハードボイルドな世界観とオリジナリティの高いゲームシステムは中毒性が高いです。
興味がある方はぜひプレイしてみてください。