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【Switch・Vita】「グノーシア」の感想・レビュー。一人プレイ用の新感覚人狼RPG【ADV】

こんにちは。なかやんです。

今回、2019年6月発売のPS Vitaダウンロード専用ゲーム、「グノーシア」をクリアしたので、感想・レビューを書いていきます。

総プレイ時間は約20時間です。

「グノーシア」ってどんなゲーム?

「グノーシア」は、2019年というご時世になぜか「PS Vita」というハードでダウンロード専用ソフトとしてリリースされ、有名Webゲームマガジンの「IGN Japan」で10点満点という高評価を得たゲームです。

参考:IGN JAPAN

そして、2020年4月30日に待望のSwitchでダウンロード配信が開始されました。

ゲームとしては、「人狼ゲーム」の様相を呈しています。

「グノーシア」という人狼の役割をもつ人物が宇宙船(村)に紛れ込んでおり、議論にてグノーシアをコールドスリープ(吊る)していくというのが基本的な流れになります。

このようにグノーシア化した乗員を見抜けないまま、グノーシアが乗員の過半数を越えると、敗北となります。

通常、人狼ゲームというのは「人間」が複数人集まらないとゲームとして成り立ちません。

「グノーシア」は、一人プレイ用の人狼ゲームとして作られており、悲しいかな僕のように友人が少なく、「ネットで知らない人と人狼ゲームをやるのはちょっと…」という人間でも人狼ゲームが楽しめます。

また、いわゆる「ループゲー」となっており、乗員側かグノーシア側のどちらかが勝つと、世界がループし、また新たなグノーシアを探す、あるいは主人公自らがグノーシア陣営になることをひたすら繰り返して行くことになります。

この「グノーシア」というゲームが評価されている点は、人狼ゲームに加えてRPG要素が充実しているということで、主人公とそのパートナーとなる「セツ」は、なぜ世界がループするのか、グノーシアとは何なのか、というのを共に紐解いていくことになります。

CPUとはいえ緊張感のある人狼ゲームが楽しめる

「CPU相手の人狼ゲームなんて楽勝じゃね?」と思われる方もいるかもしれませんが、「グノーシア」では油断していると速攻でコールドスリープさせられることもあります。

調子に乗って他キャラクターを糾弾し続けたり、場の中心になり続けていると「ヘイト」がたまり、発言させてもらえなくなったり、明らかに一貫性と整合性のない発言を続けていると他キャラクターからの票を集めてしまいます。

序盤はうまく場を回せずにコールドスリープさせられてしまうこともありますが、後述するRPG要素によりバランスの取れた難易度にすることができます。

一見人狼ゲームと相反するように見える、RPG要素

「グノーシア」では、プレイヤーや乗員であるキャラクターにステータスが設定されており、プレイヤーはループを終えるごとに経験値を得ることができ、ステータスを強化することができます。

ステータスを強化することで、議論を有利に進めるスキルを入手することができたり、グノーシアから狙われにくくすることができるようになります。

一見人狼ゲームの本質からずれた強化のようにも思えますが、ひたすらループする、ともすれば退屈とも思えるゲームシステムと非常にバランスの取れた調整になっており、プレイヤーを飽きさせません。

クセがあるが魅力的な多種多様のキャラクター

「グノーシア」には14名のキャラクターが用意されており、プレイヤーを含めた最大15名で遊ぶことが可能です。

また、キャラクターにもステータスが用意されており、「直感」が高く、嘘を見抜きやすいキャラクターがいたり、「ステルス」が高く、グノーシアから狙われにくいキャラクターがいたりと、キャラクターの個性に沿ったステータス調整がされています。

また、ゲームのエンディングを見るためには、キャラクターごとに設定されている「特記事項」、いわゆるエピソードを解放していく必要があります。

特記事項の解放には「特定の役割で特定の行動をとる」など複雑なものもあり、何度もループしないと全てを解放できないようなゲームシステムになっています。

特記事項を解放していくことで、キャラクターひとり一人の魅力や謎に迫ることができ、ストーリーが進んで行くので、こういったRPG・アドベンチャー要素もうまくゲームシステムと噛み合っています。

なお、キャラクターの特記事項を解放することで、そのキャラクターのステータスが強化されるという仕様も相まって、終盤は割と緊張感のある人狼ゲームを味わえるようになっています。

RPG要素が、人狼ゲーム初心者の難易度を下げてくれている

プレイヤーが獲得できるスキルの中には、人間かどうか名乗らせるものがあったり、自分への批判を妨げるものがあったりと、リアルの人狼ゲームでは考えられないようなものが存在します。

この通常の人狼ゲームでは考えられないようなスキルが「グノーシア」のゲーム性を高めており、僕のような人狼ゲーム初心者でもスキルを使うことで、推理がしやすくなります。

もちろん、本格的な推理を楽しみたいのであれば、こういったスキルを使わずに進めることも可能です。

ただ、ループ回数を重ねることが前提であるこのゲームにおいて、難易度を下げてくれるこの仕様はありがたく、思わず時間を忘れて遊び続けてしまう良い調整になっています。

SFとしてみても、シナリオが面白い

純粋にループもののSFとして見ても、「グノーシア」のシナリオは完成度が高いです。

なぜ主人公はループし続けるのか、という謎を特殊な役割設定をすることでたどり着けるようにするなど、ゲームシステムとうまく絡めてメタフィクションとしてうまく描いています。

エンディングは二つ用意されているのですが、真エンディングにたどり着くまでのギミックも凝っており、「なるほど、そういうことか」とアハ体験させられます。

とあるキャラクターの不可解な特記事項もしっかりと真エンディングで回収され、最後までプレイヤーを楽しませてくれます。

遊びだすと止まらない「グノーシア」の世界をループしよう

「ループ」がテーマとなっている「グノーシア」という作品は、何度もゲームをプレイすることが前提になっています。

ですが、バランスの取れたRPG要素とキャラクターひとり一人にフォーカスを当てたアドベンチャー要素がゲームを飽きさせません。

僕は結果的に「167週」もしましたが、最後まで遊ばせる工夫が凝らされたゲームだなと思いました。

Switchで配信されるまでは「PS Vita」というハードでしか遊べなかったということが最大のネックでしたが、これも解消され、多くの人が遊べるようになったのはとても喜ばしいことです。

人狼RPGという新たなジャンルを切り開いた「グノーシア」という傑作を多くの方にプレイしていただきたいと思います。